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高齢者が食べないのは認知症のせい?食事拒否の原因と対策

 

食欲がない高齢者

高齢者の食行動に何らかの変化が出現してきた場合、それはひょっとすると認知症の症状かもしれません。食事拒否や飲み込まないなどの食行動の問題は、認知症に伴う行動変化のなかでもよくある問題だからです。

 

そこで、具体的によくある食行動の問題とその原因、そしてその対応策をまとめます。

 

認知症による食行動の問題・よくあるケース

認知症の食事拒否

  • 食べない(拒食)
  • 食べ過ぎる(過食)
  • 食物以外のものを食べる(異食)
  • 嗜好が変化する
  • 食べ物で遊ぶ
  • 複数の食べ物を混ぜ合わせて一つにする
  • 食べ物を手でこねる
  • むせる
  • 飲み込まない
  • 噛まずに飲む
  • 吐き出す
  • 他人の食べ物を食べてしまう(盗食)
  • 食べ物をポケットやタンスに隠す
  • 利き手と反対の手で箸やスプーンを持つ
  • マナーの悪化

 

さまざまな障害による食行動の問題

脳の障害 認知症のイメージ画像

 

これらの認知症による食のトラブルはさまざまな障害に起因しています。

 

運動機能障害

認知症の方は、運動機能障害の進行によって食べること自体に問題が生まれることがあります。

自発的なリハビリや訓練は困難となり、摂食・嚥下障害を完全に治すことは困難なので、この場合は残された能力を百パーセント引き出してあげる環境改善に知恵を絞ることになります。

 

食形態、食べ方、姿勢などを工夫して、少しでも最適な状態にもっていきます。

 

 

手続き記憶の障害

お箸を上手に使っているので、ちゃんと食べているのかと思っても、食べるペースや一口量が守れずに、窒息の危険を伴うことがあります。

また、食事をした体験そのものを忘れていて、食事を食べさせてもらえないと訴えることもよくあります。ものの意味や使い方を忘れてしまい、お箸で字を書こうとしてしまう場合もあります。

 

介護者が、「さっき食べたでしょ!」という声掛けをすると、症状が悪化する場合があります。

 

 

見当識障害

「自分は今どこにいるのか」「今は何時か」など、置かれた状況を正しく認識できなくなることを見当識障害といいます。

これが進むと、食べものとして認識できなかったり、逆に食べものでないものを食べてしまう場合もあります。ぬいぐるみを食べようとしたり、もっとひどい人になると、枕の中身のスポンジをを食べてしまった人もいます。

 

見当識障害においては、食べ物が認識されずに食事拒否をしている場合があります。

 

 

実行機能の障害

料理を前にしてもキョロキョロと周りを眺めているだけで、食事が始められないなど、食べる手順がわからなくなる状態です。

 

この場合は、一緒に食事をして、食べる手順を見せてあげることが有効です。

 

 

他にもこのような事が原因で食べられなくなる人も…

家族が怒る…

怒る人

認知症になると、本人は食べようとしてもうまく食べることが出来なくなります。食べこぼすと家族に怒られるので、それがもとで、どんどん食べられなくなるというケースがあります。

 

施設に入所されたばかりの方で、みそ汁をこぼしてしまった時に、「●●に怒られる~あ~ぁ~」。と、子供のように嘆く人がいました。いつも家で息子さんに怒られていた認知症の人です。

 

認知症の人でも、怒られた時の嫌な記憶は鮮明に残ります。それが食べることに消極的になる原因になることがあります。

 

そのためにも、本人が失敗感を持たないように配慮することが重要です。

 

 

むせるのは年のせいと、家族があきらめる

むせるおじいちゃんのイラスト むせる原因

むせる高齢者に、家族が「もう年だから仕方ない」といって何も対処しないケースもあります。

 

大抵は嚥下の状態が悪くてむせているので、食べ物の形態を変えたり、とろみを使うなどすれば改善するはずです。これを放置すると、むせることが怖くなり、水分摂取や食事摂取に消極的になります。

 

脱水になったり、褥瘡(床ずれ)ができるほど低栄養になって気づかれる方が多いのです。この状態では認知症も悪化してしまいます。

 

そうならないためにも、接触・嚥下障害の初期の段階で専門家に相談しましょう。

 

 

食事を拒否する認知症の人に食べてもらう方法

食事介助される高齢者の画像

工夫と配慮しだいで食が進みます。私たちが日頃よく使う認知症の人に食べてもらうための方法をいくつか紹介します。

 

食べ物をアピールする

認知症の方に食事を勧める際、食べもの自体にアピール力をもたせるとうまくいく場合が多いです。

  • しっかりと濃い目に味をつける
  • 色でメリハリをつける
  • 良い香りをつける
  • 柄のお皿を使わず、食べ物を目立たせる
  • 白い器に白い食べ物を乗せない
  • お弁当箱に盛り付ける

 

これらのの工夫が効果的です。

 

認知症の方にとっては、食べものと食器の色や柄が区別しづらいので、食べ物だと認識しやすいような食器にもりつけましょう。

 

食事に集中してもらう

食事中の音にも注意が必要です。テレビを大音量でつけていたり、コミュニケーシをとろうとしてて過剰に話しかけたりすることも、認知症の方にとっては「情報過多」となり邪継になってしまう要素です。

過剰な団らんよりも静寂のほうが食事に集中できることが多いのです。食事を促す時の声掛けは必要ですが、食べている時に話しかけるのは控えましょう。むせる原因になりますので。

 

 

食べ方を観察する

食べ方を見れば、食べやすいものだけでなく、その人の状態がわかります。

  • 噛むことに問題がある人は、軟らかく水気の多いものを好んで食べます。
  • のみ込みに問題がある方の場合は、逆に水気の多いものは食べるのを敬遠します。
  • 義歯に問題がある人は、食べにくそうに食べます。
  • どんな食べ物でもずっと口の中に入れている場合は、認知症が進行している可能性があります。

食べている様子や食事中に咳き込むタイミングなどを注意深く見ると、その人にとって食べやすいものと食べにくいものを把握できます。

その方にとって、食べやすいものや食べやすい環境は、口から食べることを続けていくための鍵になります。そして、口から快くおいしく食べること自体が、その食べ物が体内で命をつなぐ栄養としても十分に働くことを意味しています。

 

かみ合わせが悪い、入れ歯が落ちるなど義歯に問題がある場合は、すぐに歯科医を受診して下さい。

噛む回数が減ることや、噛む力が弱くなることで、記憶力などの機能の低下が起こると考えられています。

むせることが増えて来た場合も、医師に相談し、むせる食べ物や飲み物にはとろみをつけるなどの工夫をして下さい。

認知症が進行してきた場合は、声掛けに注意し、怒らずに優しく支持を出してあげましょう。

 

 

その他の方法

一人ではなくみんなで食べる。

食事の時間だと認識するきっかけになります。

 

「これ美味しいよ。」「これ食べてみて」などと、次の行動を促す。

次に何をすればよいか分からず、手が止まっている場合がよくあるため。その食べ物何か分からない場合もあるので、その時は「これは●●ですよ。おいしいですよ~♪」などの声掛けが有効です。

 

なるべく好きな物をメニューに加える。

「これ、昔からよく食べてたねー」などと、思い出を想起させるようなことを話すと食べる意欲がわいてくる場合があります。(とても効果的です。)

 

たまにはいつもと違うメニューも。

たまには料理のバリエーションを変えることで刺激になります。お好み焼きとかラーメンが人気です。むせやすい人はラーメンにとろみをつけたほうが食べやすいです。

→介護職員おすすめのとろみ剤ベスト3

 

 

まとめ

食べこぼす高齢者のイラスト画像

食事を食べなくなったり、食べ方がおかしくなったなどの食行動の問題は、認知症に伴う行動変化のなかでもよくある問題です。

  • 食べ物だと認識できない
  • 食べ方が分からない
  • 義歯に問題がある

など、その症状は人それぞれです。

 

介護 正しい食事の姿勢 誤嚥防止

介護者が出来る一番の事は、それが認知症のせいでそうなっているということを理解することです。怒ったりバカにしたりすると、症状が悪化する可能性がります。

 

入れ歯が口に合わずに動いてしまい傷を作り、その痛みで食べることを拒否する人もいます。認知症の方は入れ歯の不具合や口の中の痛みを本人が訴えることが出来ないということも多くあります。そのため、介護者がしっかりと観察して対応することが大切です。

 

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参考文献

認知症の食行動異常:入院中の認知症患者にみられた食行動の問題の頻度

https://www.jstage.jst.go.jp/article/neuropsychology/33/3/33_17002/_pdf/-char/ja

 

 

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