腎臓病の食事制限のなかで、もっとも重要なのが塩分制限だとされています。
そのため、血液中のナトリウムの量を増やしすぎないためにも、塩分量の制限が必要になります。(腎臓病の種類や症状、病期などによって内容は多少ちがいます。)
そこで腎臓病と塩分について、ステージごとの塩分量の目安、減塩・薄味のための5つのコツをまとめました。腎機能を維持するために重要なポイントです!
塩分の摂りすぎが腎臓に負担をかける
食塩の摂りすぎは腎臓に負担をかけます。
腎臓は血液中の余分な塩分を排泄します。腎臓の能力が落ちている場合は血液中のナトリウムが増えてしまうので減塩が必要です。
また、食塩の摂りすぎで喉が渇いて水分の摂取量が多くなると、体内の水分が増え、腎臓は尿量を増やそうと頑張ります。これを繰り返すうちに腎臓が疲れてしまい、腎機能が低下してしまいます。
また、食塩の摂りすぎは高血圧も招いてしまいます。
高血圧になると腎臓の血管が傷ついて動脈硬化を招き、より腎機能が低下してしまいます。
減塩することにより、体内の水分量が減り、腎臓や血管に与える負担を軽くすることが出来ます。
次に腎臓病のステージごとの塩分量の目安を見ていきましょう。
ステージごとの塩分量
慢性腎臓病の患者さんに推奨される食塩摂取量は、病期ステージにかかわらず、1日6g未満が基本です。
ですが、これはかなり厳しい制限です。
そのため、ステージG1~G2で高血圧や体液過剰を伴っていない患者さんは、当面の達成目標として1日あたり男性8g未満、女性7g未満に制限が緩和されています。
ステージG4~G5の患者さんで体液過剰の徴候があるときは、1日6g未満よりも少ない食塩制限を指導されます。
減塩・薄味のための5つのコツ
腎臓病を患う人には、濃い味付けを好む人が多くいます。
まずは、ふだん使っている調味料にどれだけの塩分が含まれているのかを知りましょう。商品のパッケージなどには、必ず食品表示があるので、塩分量は簡単に調べられます。
次に、なるべく塩分を減らした減塩食にする必要があります。塩味に頼らず満足感を得られる減塩食をつくるコツは、5つあります。
減塩・薄味のためのコツ:その1
1つめは、香辛料を上手に使うこと。
薄味でも、こしょうやカレー粉、唐辛子、わさびなどの香りを使うことで、しっかり“味”が感じられます。
減塩・薄味のためのコツ:その2
2つめは、酸味を使うこと。
塩の代わりに酢やレモンやかぼす、すだちなどの柑橘類の汁を振ることで、塩分を減らしてもメリハリのある味付けができます。
減塩・薄味のためのコツ:その3
3つめは、だしの活用。
かつお節や昆布から取っただしを使うことで、食材のうま味が増します。
減塩・薄味のためのコツ:その4
4つめは、新鮮な食材を使うことです。
料理の基本ではありますが、新鮮な食材を使えば、素材そのものがおいしいので調味料を使った味付けは控えめで済みます。
減塩・薄味のためのコツ:その5
5つめは、加工食品を減らすこと。
調味済みの食材だけでなく、かまぼこやちくわなどの練り物などには塩分が多く含まれます。せっかく薄味を心がけていても、これらの食品を使って料理していた場合、全体の塩分摂取はなかなか減らせません。
最後に、塩分量を減らすのに、意外に重要なのが食品の分量を正確に量ることです。計量カップ、計量スプーン、量りをそろえ、調理の際にはきちんと使うようにしましょう。
毎回きちんと材料を量って料理をすることで、各食品の塩分量が頭に入り、外食するときにも目分量で、どれぐらい食べてよいのかわかるようにもなります。
風味は一般のものとあまり変わらないのに塩分量の少ない「減塩調味料」もあるので、上手に利用するのもよいでしょう。
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腎機能を維持するために
ステージが進むほど食事制限は厳しくなり、腎臓病治療用特殊食品(低たんぱく食品など)を用いたり、手間をかけて食事を準備したりしなければならなくなります。家族と同じ食事をするのもステージが進むごとに難しくなってくるでしょう。
軽症のうちに食事療法を徹底すれば、低コストで手間も少なく、らくに腎機能を維持して いくことができます。
まとめ
腎臓病の人の塩分制限について、最後にもう一度簡単にまとめます。
減塩が必要な理由は塩分が腎臓に負担をかけるから。
慢性腎臓病の患者さんに推奨される食塩摂取量は、1日6g未満が基本。
塩分を減らすには、まず薄味の調味を心がけること。
腎機能を維持するためには軽症のうちに食事療法を徹底すること。
タニタ 塩分計 しおみくん
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