腎臓病になると、ステージによっては果物を制限する必要があります。その理由は果物に多く含まれるカリウムを制限しなければいけないからです。
腎機能が低下して、尿をつくる能力が減ってくると、カリウムを排出しづらくなってきます。体の中に余分なカリウムが溜まると高カリウム血症となります。これは、不整脈の原因ともなる危険な状態です。
そこで、腎臓病と果物の関係についてまとめます。このような疑問がある人に読んで欲しい記事です。
腎臓病患者で果物の制限が必要な人はどのような人?
食べてもいい果物と食べないほうがいい果物があるの?
果物の缶詰は食べてもいい?
果物(カリウム)の制限が必要な腎臓病のステージ
腎臓病になったからと言ってすぐにカリウム制限が必要になるわけではありません。
カリウムの制限が必要なのは、慢性腎臓病(CKD)の重症度でステージG3bからです。
たんぱく質の制限との関係もあり、個人によってすすめられる値は異なりますが、基本的にステージG3bで2000mg/日以下、G4~5は、1500mg/日以下に抑えます。
ステージ(GFR) | カリウム(mg/日) |
ステージG1(GFR60~89) | 制限なし |
ステージG2(GFR45~59) | 制限なし |
ステージG3a(GFR45~59) | 制限なし |
ステージG3b(GFR30~44) | ≦2,000 |
ステージG4(GFR15~29) | ≦1,500 |
ステージG5(GFR<15) | ≦1,500 |
※性別、年齢、身体活動などにより異なります。
ステージG1~G2ではカリウムの制限がないので、一般的なカリウム摂取と同じでかまいません。ちなみに、一般的には男性では2500mg/日、女性では2000mg/日が目安です。
では、実際にカリウム量2,000gや1,500gという数値はどのぐらいのものが食べれるのでしょうか?果物は食べてもいいのでしょうか?
果物は食べても大丈夫?
果物はビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富で、特にビタミンCの重要な供給源です。ですが、果物は比較的カリウムが多い食品です。
ステージG1~G3aではカリウムの制限はありません。そのため、果物は食べても大丈夫な食品です。
ステージG3b以上の人は、カリウムの多い果物は避けるか、量を守ってカリウムを摂りすぎないように気を付ける必要があります。
そのためにも普段食べるものにどのぐらいのカリウムが含まれているか知っておく必要があります。
おすすめの果物
果物の中でも、りんごやぶどうなど比較的カリウムの少ないものがあります。カリウム制限が必要な人は、そのような果物がおすすめです。
果物の成分表リストなどを常にチェックして、1日のカリウム量を超えないようにしましょう。
※正味量とは、皮や種を除いた純粋に食べられる量です。
※すいかやメロン、パイナップルな大きさに差があるので、目安によらず、きちんと計量しましょう。
あまり食べないほうがいい果物
果物は比較的カリウムが多い食品ですが、その中でも特にバナナやキウイなど、南国系のフルーツに多く含まれている傾向があります。
ドライフルーツや干し柿のカリウムは生の果物よりカリウムが多く含まれているので注意が必要です。
果物の缶詰について
カリウムは水溶性です。
果物の缶詰の場合、シロップの中にカリウムがたくさん溶けだしているため、生の果物よりも、果肉部分のカリウム量は少なくなっています。
まとめ
腎臓病の方でも果物を食べることはできます。
ですが、腎臓病の方でステージG3b以上の人は、カリウムの多い果物は避けるか、量を守ってカリウムを摂りすぎないように気を付けましょう。
果物では、特にバナナやメロン、キウイフルーツにカリウムが多く含まれるので注意しましょう。
バナナ、アボカド、プルーン、メロン、キウイフルーツ、それに干しあんずなどのドライフルーツには特にカリウムが多いので注意しましょう。
果物は通常の半量にするか、缶詰のものを利用するとよいでしょう(ただし、缶詰のシロップは飲まないこと)。
カリウム量を計算するのが面倒な人は、腎臓病の方でも安心して食べることのできる低カリウムの果物ゼリーなどもあるので試してみてはいかがでしょうか?
ゼリー1個でカリウム2gと超低カリウムゼリーです。