腎臓病は初期の場合、なかなか自覚症状が現れないため、病気が進行してしまうことがあります。しかし、病状が進むと様々な自覚症状が現れます。
腎臓病の自覚症状で気付きやすいのは尿の異常とむくみ(浮腫)と高血圧です。腎臓病を早期発見するためにはこの初期症状を見逃さない事が重要です。
そこで今回は腎臓病の自覚症状についてまとめます。
腎臓病の自覚症状
腎臓病が進んでくると、尿の異常、むくみ、高血圧などの自覚症状があらわれます。
腎臓病の自覚症状
- 尿の異常
- むくみ
- 高血圧
一般的には腎機能が1/3になるとこれらの自覚症状が出現すると言われています。
腎臓はなかなか悲鳴を上げません。少しぐらい能力が低下しても働きつづけます。これを「予備力」といいます。腎機能が半分程度になっても、腎臓としての働きを十分に全うすることができます。
腎機能が3分の1以下になってしまうと、かなり厳しくなってきます。さまざまな働きができなくなり、放置しつづければ、いずれ、むくみ、尿の渦り、血圧の上昇、尿の量の変化などの自覚症状があらわれてきます。(出典:患者のための最新医学 腎臓病 改訂版)
尿の異常
腎臓病にともなって、尿に異常があらわれてきます。
尿の濁り・色の異常
たんぱく尿
尿に血液中のたんぱくが漏出(ろうしゅつ)するたんぱく尿は、腎臓病の重要な症状ですが、自覚がないのが特徴です。尿検査によってのみわかります。
血尿
糸球体の毛細血管の壁が粗くなってくると、赤血球のような大きな物質が尿の中にもれ出してきます。これが血尿です。
尿がコーラ色や赤褐色に濁っているように見える場合は、血尿であると自覚できます。しかし、赤血球がごく微量しかまじっていないと、肉眼ではわかりません。
膿尿(のうにょう)
尿が膿のように白黄色に濁って見えます。尿に白血球がまじると、このような状態になります。
糖尿
糖尿病で血糖値が高くなると、尿に血糖が出て甘いにおいがすることがあります。
排尿・尿の量の異常
尿の量が増える・減る
健康な人が1日に排泄する尿の量は1000~2000ml以です。腎機能が低下すると、1日3000mlにもなることがあります(多尿といいます)。
一方、腎臓への血流が悪くなると、400ml以下になります(乏尿といいます)。50~100ml以下の場合は無尿といいます。
健康であっても、水分のとり方や汗のかき方によって、1日の尿の量は大きく変化することがあります。尿量の変化がすべて腎臓病に結びつくわけではありませんが、以下のような状態がつづく場合は明らかに腎臓病であると考えられます。
無尿(むにょう)1日に100mL以下
乏尿(ぼうにょう)1日に100~400L
多尿 (たにょう)1日に3000mL以上
尿の回数が増える・減る
また腎機能が低下すると、尿の回数も極端に増減します。
健康な人の尿の回数は1日日中4~5回。夜間は0~1回ですが、10回以上になることもあります(頻尿)。
むくみ・体重増加
むくみは比較的気づきやすい自覚症状です
腎臓病というと、まず「むくみ」を連想するかと思います。
腎機能が低下すると、水分を排泄する力が弱くなり、体にたまりがちになります。水を引き寄せる作用があるナトリウム(塩分)の排泄がうまくできなくなったり、たんぱく質が尿の中に出てしまうことも、むくみの原因になります。
ただし、うっ血性心不全、肝硬変、甲状腺機能低下症、乳がんの手術後など、腎臓病以外にもむくみが生じる病気があります。
むくみがあらわれやすいのは、足、顔、手などですが、重症になると内臓(肺、肝臓、心臓の周囲、胃、腸など)がむくむこともあります。
むくみの自覚症状チェック
朝起きた時にまぶたが腫れている
足のすね、甲、くるぶしなどを押すとへこんだまま戻らない
靴下のゴムの跡がくっきりと残る
いままで履いていた靴がきつい
指輪がきつくて抜けない
指にこわばりを感じる、動かしにくい
体重増加:むくみと体重の関係
むくみがあるということは、体の中に水分がたまっているということですから、体重が増えてきます。たとえば水が1Lたまると、体重は1kg増えます。
むくみの自覚症状がある人は、こまめに体重のチェックをしてみてください。腎臓病や高血圧で利尿薬を処方されている人は飲む前と飲んだ後でかなりの体重の増減があるのが特徴です。
利尿薬はむくみをとるために尿の量を増やして、体内から余分な水分を排出させるために使います。尿と一緒に塩分も排出できるので血圧も下がります。そのために弱いながらも降圧効果も期待できます。
こちらの記事も参考にして下さい。→利尿剤で解消できる!腎臓病の方のむくみスッキリ対策
高血圧・発熱など
腎臓病では水分や塩分の排出の調整ができなくなるので、血圧が上がります。
このほか、発熱(腎盂腎炎、全身性エリテマトーデスなどの場合)、背中・腰・おなかの痛み(尿路結石、腎孟腎炎)などの症状も出てきます。
赤血球をつくる作用を促すホルモン、エリスロポエチンは腎臓でつくられているため、腎機能が低下すると貧血になることもあります。
腎臓病と高血圧の悪循環
腎機能が低下して水分や塩分の排泄がスムーズにできなくなると、体の中に水分がたまってきますが、血管内の血液の量も多くなってきます。
血液の量が増えると血管壁にかかる圧力が大きくなってきて、その結果、血圧が上昇してきます。体にむくみが出ていたら、血圧も高くなっているはずです。
そして、血圧が高くなると、それがさらに腎臓の機能を低下させ、それがまた血圧を高くするという悪循環におちいります。
早期発見の為に出来ること
腎臓病を想起に発見するには、年に1~2回の検診が大切です。
腎臓病の検査の基本は尿検査と血圧測定です。この2つの検査は家庭でもチェックすることが出来ます。
尿検査
尿の簡単な検査は家庭でも手軽にできます。
尿に試験紙をひたし、試験紙の色で測定します。
このような事が測定できます
- 潜血
- タンパク尿
- 尿糖の陰性、擬陽性、陽性
さらに心配な人は尿の回数や1日の尿量などのチェックをすることをおすすめします。
血圧測定
家庭用の電子血圧計で、毎日決まった時間に血圧を測っておくと、自分の正常血圧を把握することができます。
成人の至適血圧は収縮期血圧値で120㎜Hg未満、拡張期血圧値で80㎜Hg未満です。
高血圧は収縮期血圧値で140㎜Hg以上、拡張期血圧値が90mmHg以上の場合を言います。
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」最新版です。クリックで拡大するので自分がどのラインにいるのか、一度確認しておくことをオススメします。
※赤字部分が一般的にいう高血圧 (日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)
私の施設でも毎日同じ時間に血圧測定をしているのですが、施設ドクターの指示で、収縮期血圧値135mmHg以上の人は赤印でチェックマークがついてしまいます。
なので皆さん135という数字を目安にしており、超えると残念がっています(笑)
最近は、血圧は収縮期血圧<120、拡張期血圧<80までコントロールするほうがいいとされているようです。詳しくはオムロン公式サイトをご覧ください。
私の施設でも使っているものです。
まとめ
腎臓病の自覚症状についてまとめました。早期に気づきやすいのは尿の異常とむくみです。
◇尿の濁りや尿の量に変化はありませんか?
◇最近特にむくみが気になったりはしませんか?
また、毎日家庭で血圧を測定していますか?
血圧を毎日測定することにより血圧の異常に早く気づくことが出来ます。
OMRONの「上腕式血圧計(HEM-7122)」は、正確に血圧を測定するには、カフ(腕帯)を腕にしっかりと巻くことが大切です。「カフぴったり巻きチェック」は、測定のたびに、カフが適切な強さで巻けているかどうかをチェックし、画面でお知らせします。