誤嚥は嚥下機能に障害があることが原因で起こります。嚥下障害とその原因、特に原因となる疾病や障害は実に様々です。
※誤嚥(ごえん)…食べ物が誤って気管や肺に入ってしまうこと
※嚥下機能(えんげきのう)…食べ物や飲み物を飲み込む機能
嚥下障害の主な原因は、大きく分けて3種類あります。
- 「器質的な障害」(臓器や器官などの病気を原因とするもの)
- 「機能的な障害」(神経や筋肉の動きに問題があることで起きるもの)
- 「その他の障害」
器質的な障害
「器質的な障害」…臓器や器官などの病気を原因とするもの
飲み込むために必要な舌、咽頭、喉頭、食道などの組織や構造に障害が生じたことが原因で起こるものです。
器質的な障害の例
腫瘍の摘出手術後や放射線療法などのあとの組織の欠損や変性など。
機能的な障害
「機能的な障害」…神経や筋肉の動きに問題があることで起きるもの
①脳血管障害や神経変形性疾患などによるもの
②薬物(抗不安薬など)の副作用や経鼻カテーテル留置による咽頭部への圧迫などによるもの
③安静による廃用症候群などが原因になるもの
④加齢による筋力の低下や神経筋の障害によるもの
⑤呼吸器の障害
※廃用症候群(はいようしょうこうぐん)
病気やケガなどで寝たきりになることによって、体や精神に起こる症状。運動機能が低下して思い通りに体を動かすことができなくなるなど。
機能的な障害の例
- 脳血管障害
- 神経変形性疾患
- 抗不安薬などの副作用
- 経鼻カテーテル留置による咽頭部への圧迫
- 廃用症候群
- 脳腫傷
- 頭部外傷
- 脳炎
- 多発性硬化症
- パーキンソン病
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄変性症
- 重症筋無力症
- 末梢神経炎(ギランバレー症候群など)
- アルツハイマー病
- 肺がんや肺気腫などの慢性肺疾患
その他の障害
①経鼻カテーテルの留置
②義歯をつけなかったこと、義歯が合わなかったことによるもの
③食事の味や形が悪いことや食事の環境に問題があって起こるもの
④薬の副作用によるもの(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、制吐剤などによる筋肉の緊張過剰や低下で起きる運動障害や精神活動の低下など)
⑤うつ・心身症などによる生活意欲の低下などによるもの
まとめ
もう一度まとめると、嚥下障害の原因疾患は主に3種類あります。
- 「器質的な障害」(臓器や器官などの病気を原因とするもの)
- 「機能的な障害」(神経や筋肉の動きに問題があることで起きるもの)
- 「その他の障害」
食べ物が口に入ってから、胃に届くまでの過程で、どの段階が障害されても職下障害は起こります。
とくに、咽頭を通過する時点の飲み込むタイミングがちょっとずれただけで、食塊(食べ物の塊)は鼻から漏れたり、気道に入ってしまうので要注意です。
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