口から食べることを経口摂取といいます。そして、口から噛んで食べることにより、からだも脳も活性化します。
なぜ噛んで食べることがこれほどまでにからだにいいのか、簡単にまとめます。
口から食べることでからだが活性化する
食べものを口に入れ、よく噛んで、ゴックンと飲みこむ「口から食べる」ことの重要性が、最近改めて見直されています。
食べる楽しみは生きる楽しみでもあります。
実際、鼻からのチューブでふだんは栄養をとっている人が、プリンを一口食べただけで、表情が出て元気になるといったことが、介護の現場で起こっています。しかもそのような例は少なくはありません。
生理学的にみても、噛んで食べることで五感が刺激されたり、脳全体が活性化することがわかっています。
また、ガムを噛んでから栄養剤を飲んだときと、ただ栄養剤を飲んだときとで、胃の動きを比べてみたところ、噛んでから飲んだ方が消化液がたくさん出て、胃の活動は活発になっていることがわかっています。
つまり、噛むという行為には、食べるためのスイッチを入れる役割もあるのです。口から食べることは、もっとも自然でからだの生理にかなった栄養補給法です。
- よく噛むための歯
- ゴックンと飲みこむための舌やのど
では次に、口から食べることがどのように全身に変化を与えるのかまとめます。
口から食べることで起こるからだの変化
口から食べることで、五感が刺激され、大脳が活性化し、唾液が出て、内臓が目覚めます。私たちは口から食べることによって、元気や活気を生み出しているとも言えます。
口から食べることによって起こるからだの変化をもう少し詳しく説明します。
五感が刺激される
口から食べることで五感が刺激されます。
- 食べものを目で見る(視覚)
- 食事を用意している音を聞く(聴覚)
- おいしそうな匂いをかぐ(喫覚)
- 手でつかむ(触覚)
- 味わう(味覚)
口から食べることで五感が刺激され、意識がしっかりしてきます。
大脳が活性化する
- 噛む(咀嚼)飲みこむ(嚥下)ことによって生じる感覚刺激は、大脳の感覚野に伝えられます。
- 一方、阻曙や嚇下の際には、大脳の運動野から食べるための筋肉に対して命令が出されます。
- 五感の刺激は脳のそれぞれの中枢へ伝えられ、 脳全体が活性化します。
噛むことが脳にいいと言われているのはこのような理由があるからです。
唾液が出る
唾液には消化だけでなく、 抗菌(細菌の増殖をおさえる)や自浄(汚れを洗い流す)、緩衝(口の中のpHを元に戻す)などの作用があります。
食べものを見て匂いをかいだり、口に入れて噛んで味わうことにより唾液の分泌が促されます。
唾液の量が少ないと、口腔内の細菌が増え、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
内臓が目覚める
五感の刺激は胃や腸にも伝わり、胃は胃液を出す準備を始め、肝臓や摩臓も活動を開始、腸全体が嬬動運動を起こします。
まとめ
以上、口から食べる大切さをまとめました。
しかしながら、要介護高齢者の増加に伴い、食べる機能が低下している人々が多く存在するようになりました。栄養療法の普及や医療安全という背景から非経口栄養のみで管理される人々が数多くいます。
栄養を取る方法には3つの方法があります。
- 口から食べる
- チューブで消化管に入れる(経管栄養:鼻腔栄養・胃ろう・腸ろう)
- 静脈から入れる
食事の理想は普通の食事を口から食べる事です。人間は、口から食べることによって、元気や活気を生み出しているとも言えます。