むせる、咳込む、痰の量が増えるということが嚥下障害によくある特徴的な症状であると、前回説明しましたが、そのほかにもさまざまな症状が起こる場合もあります。
そこで、嚥下障害によくある特徴的な症状と、時には起こる様々な症状のポイントをリストにしたので、当てはまるものがないかチェックして下だい。
嚥下障害チェックポイント
嚥下障害は高齢者も、また、若い人にも起こる障害です。嚥下障害のチェックポイントの項目をリストにしました。
チェックポイント
- むせることが多くなっていないか(水分・食事)
- 頻繁に咳や咳込みがないか
- 痰の量が増えていないか
- 体重が減っていないか
- 食欲は低下していないか
- 口食事時間、食べ方に変化はないか
- 熱が出ていたり、身体に痛みはないか
- 口食後にガラガラ声になっていないか
- 口からよだれが出ていないか
- 食事をすると疲れていないか
- 飲み込むとき、喉が痛くないか
- 喉に食べ物が残っているような違和感はないか
- 口腔内が汚れていないか
- ロの中に食べ物が残っていないか
嚥下障害の症状は人それぞれです。繰り返しますが、嚥下障害の特徴的な症状が、「むせる、咳込む、痰の量が増える」です。ですが、そのほかにもいろいろな症状があるので、次に詳しく見ていきましょう。
嚥下障害のさまざまな症状
よだれが出る
よだれは、唾液が口の外にあふれ出た状態です。嚥下障害で出る場合があります(仮性分泌過多)。
咽頭や食道に異物が溜まっていたり、口腔内の炎症や咽頭・喉頭の腫瘍、舌咽神経や舌下神経のマヒによる舌の運動障害、顔面のマヒによる口唇の閉鎖不全、義菌の欠損・不適合もよだれの原因になります。
口が渇く
口が渇く原因として、一番多いのは脱水です。高齢になるほど、口渇に鈍感となります。
排尿が近くなるとか、失禁への懸念から、あえて水を飲まないようにしている高齢者も多くいます。「高齢者をみれば脱水を疑う」といっていいほど、高齢者の脱水には注意が必要です。
唾液が不足すると、食塊形成がうまくゆかず、舌や咽頭の動きも低下し、咽頭から食道までの食物の送り込みがうまくいきません。加えて、唾液分泌による口腔内の自浄作用が低下し、口腔内が汚染されるので、誤嚥性肺炎のリスクは非常に高くなります
※口の中で食べ物を噛んで、唾液とまぜ、飲み込みやすい塊にすることを食塊にするといいます。
しわがれ声がある(嗄声)
食事や水分を飲み込んだ後に、しわがれたガラガラ声が出るのも、嚥下障害ではよくあります。
うがいをしながら声を出しているようなガラガラ声は、食べ物や水分が声帯まで届いたことを示しており、誤嚥の重要なサインです。
体重が減っている
食事や水分が十分に摂取されていないことを示しています。
摂食・嚥下に障害があると、食事に時間がかかったり、食べると苦しくなったりするために食事の摂取量が減少します。
慢性的な誤職で肺炎や気管支炎を起こしていたり、その他、何らかの炎症や感染症があれば、摂取した栄養はそこに取られてしまい低栄養の状態になります。
とくに介護の場合は、微熱がないか、褥瘡(床ずれ)はないか、下痢や腹痛などはないか、全身状態を十分観察することが必要です。
※高齢者は、低栄養になると床ずれができやすくなります。
まとめ
嚥下障害によくある特徴的な症状と、そのほかの様々な症状のポイントをリストにしました。当てはまるものはありませんでしたか?
嚥下障害は高齢者に多い障害ですが、若い人でも起こるので、当てはまる項目があれば注意が必要です。
嚥下障害を起こしている原因にもよりますが、嚥下機能はリハビリをすることによって鍛えることが出来ます。そのためのさまざまな嚥下訓練があります。症状を放置せずに専門家に相談して下さい。放置すると回復可能な時期を逃す危険性があります。
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