嚥下障害 誤嚥性肺炎

誤嚥は肺炎の原因になるよ!なりやすい人はこんな人

誤嚥性肺炎のイメージ画像

誤嚥を起こしやすい人がいます。誤嚥とは、食べものや飲み物などが、誤って気管の方に入っていく症状です。その原因はさまざまです。

 

誤嚥をする事で、細菌が気管の先にある肺に侵入すると、そこで炎症を起こします。それを誤嚥性肺炎といいます。高齢者は誤嚥性肺炎になると、命の危険があります。

 

ではどのような人が誤嚥を起こしやすいのでしょうか?なりやすい人の特徴をまとめます。

 



誤嚥を起こしやすい人・なりやすい人

困っている高齢者

誤嚥を起こしやすい人は主に次の2つに分けられます。

  1. 栄養・脱水・便秘などが原因の人
  2. 身体の機能低下などが原因の人

次にそれぞれを詳しく見ていきます。

 

栄養・脱水・便秘などが原因の人

栄養状態の悪い人

栄養状態がよくないと、体力が低下し筋力も落ちてきます。

筋力の低下は全身的に起きるので、摂食・嚥下にかかわる筋群の筋力、嚥下(飲み込み)に密接にかかわる呼吸機能も低下します。

 

日々の食事の摂取量をみていくこと、そして体重の変化を追うことが大切です。嚥下障害の予防には日頃からの栄養摂取は欠かせないものです。

 

 

脱水症状がある人

脱水症状の高齢者

脱水があると、唾液の分泌が減ることで口腔内が乾燥し、飲み込みが悪くなります。

睡液分泌の低下で口腔内は汚染され、誤嚥性肺炎を起こす危険性が高まるだけでなく、脱水は便をかたくするので便秘の原因になります。

 

 

姿勢の悪い人

姿勢の悪い人も誤嚥を起こしやすい人です。

猫背などでは座っている姿勢が不安定で、いつも前かがみの姿勢になっているので、相対的に頭部が伸展 (上を向いたような状態)して、飲み込みが悪くなりがちです。

 

シンプルな胃のイラスト おいしいやわらか介護食

また、猫背の人の胃は幽門部が横隔膜の上に飛び出して(食道裂孔へルニア)いることが多く、逆流性食道炎(胃食道逆流)を起こしやすくなっています。

 

逆流性食道炎とは胃の内容物が食道へ逆流してしまう疾患です。胃は強酸性の胃酸が分泌されているので、逆流すると食道の粘膜を刺激して炎症を引き起こします。

症状として最も多いのが、胸やけです。

→高齢者が逆流性食道炎になる原因と短期間で改善させる方法

 

 

便秘の人

食欲がない高齢者 認知症

便秘気味の人も誤嚥を起こしやすい人です。

便秘があれば、消化管の働きは低下し、食欲も低下します。

便秘はときに嘔吐にもつながります。嘔吐物は胃の中の雑菌とともに胃酸や消化液を含んでおり、誤嚥すると非常に重篤な肺炎になるので細心の注意が必要です。

 

ひどい便秘になり食べたものが下に行かず、吐いてしまう人は意外と多くいます。

 

 

口が開いたままの人

食べこぼす高齢者のイラスト画像

口が開いたままの人も誤嚥を起こしやすい人です。

口が開いていると、口腔内が乾燥して嚥下機能が非常に悪くなります。

舌は咽頭側に引っ込んだ状態となり、それが習慣になれば舌の萎縮にもつながります。口をきちんと閉じると、舌は前方に出てきて上顎の歯の裏側に着いて安定します。下顎も安定するので、嚥下は非常に楽になります。

 

口を閉じた状態で過ごせること、つまり鼻で楽に呼吸できることは嚥下障害を予防する基本です。

 

 

歯・かみ合わせが悪い人

可愛い入れ歯

歯やかみ合わせが悪い人も誤嚥を起こしやすい人です。

歯や歯肉を治療したり、義歯を調整することで正しく噛めるようになります。かみ合わせが改善することで、口をきちんと閉じることができるようにもなります。

 

胃ろうなどの経管栄養で、口から食事をしていない人に対しても、口腔の乾燥を防ぐことや唾液や痰を飲み込むために、歯の治療や義歯の調整は必要です。

 

口腔内の細菌が血液を伝わり、心臓に及んで心内膜炎を起こし、そこでできた細菌巣が脳に運ばれて、脳梗塞くも膜下出血につながることもあります。

 

歯の治療・義歯の調整は非常に重要なことなんです。

 

 

 

このように誤嚥を起こしやすい人にはいろいろな要因があります。ここまでは「栄養・脱水・便秘」などが原因で誤嚥を起こしやすい人達です。

 

次に「身体の機能低下」が原因で誤嚥を起こしやすい人についての説明です。とくに身体の機能が十分でないために誤嚥を起こしやすい人は、次のような人たちです。

 

身体の機能低下などが原因の人

呼吸器に疾患のある人

呼吸と嚥下には密接な関係があります。

気道を閉じて食べ物を食道に流し込みますが、呼吸器に障害があると、この一瞬の呼吸停止(嚥下反射)が保てず、誤嚥を起こしやすくなります。

 

 

ろれつが回らない人(発音がきちんとできない人)

発声と嚥下は、密接に関連しています。

ろれつが回らない人、発声がうまくできない人は口唇や舌、鼻腔や咽頭の働きに問題がある場合が少なくありません。

 

 

廃用症候群のある人

※廃用性症候群とは…

病気やケガなどで寝たきりになることによって、体や精神に起こる症状。運動機能が低下して思い通りに体を動かすことができなくなるなど。

 

廃用症候群は全身の筋力の低下や体力の低下を招きます。

それは口腔機能や嚥下機能などを弱めてしまいます。低栄養の状態で活動性は低下し、ひいては生きる気力さえも失わせてしまいます。

 

 

高齢の人

特に高齢者は誤嚥を起こしやすいです。

加齢とともにさまざまな障害が出てきます。これまでにあげてきたすべての要因が高齢者にあてはまるといっても過言ではありません。

 

 

既往症のある人

そのほかにも、以下に示す多くの疾患が嚥下障害の引き金になります。

 

中枢神経障害 

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 多発性硬化症
  • 脳炎
  • 頭部外傷

 

神経変性疾患 

  • 筋萎縮性側索硬化症
  • パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • ギランバレー症候群

 

末梢神経障害 

  • 末梢神経マヒ
  • ニューロパチー

 

神経筋接合部・筋疾患 

    • 重症筋無力症
    • 筋ジストロフィー
    • ミオパチー
    • 多発性筋炎

解剖学的異常

  • 口腔咽頭食道病変
  • 奇形

 

その他 

  • 肺気腫や肺がんなどの呼吸器疾患
  • あらゆる疾患を背景にした廃用症候群など

 

まとめ

以上が誤嚥を起こしやすい人です。このような人は、日頃から注意をする必要があります。

誤嚥は嚥下機能に障害があることが原因で起こります。嚥下障害とその原因、特に原因となる疾病や障害は実に様々です。

 

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