むせる、咳込む、痰が増える。日常生活でこんな症状が頻繁に起こることはありませんか?
食事のたびにむせるようであれば、嚥下に障害があるのではないかと疑う必要があります。嚥下障害は高齢者に多い障害ですが、若い人にも起こります。
嚥下障害の特徴的な症状
嚥下障害にはむせる、咳込む、痰の量が増えるという、特徴的な症状があります。
むせる
むせるのは、食べ物や水分が気管(気道) に入ったとき、それを喉の外に押し出そうとして起こる反射です。
原因として以下の状態が考えられます。
①口の中で食塊(食べ物の塊)が保持できず、飲み込みの準備ができていないのに喉に入ってしまう
②食べ物を飲み込むタイミングが合わない
③嚥下反射が遅れる
④喉頭の動きが少ない、動きが遅い
食べ始めにむせる
- 嚥下反射が出るのが遅い
- 舌が食塊を保持できない(※)
- 首(顎)が上を向いている
- 水分と固形物が混ざっている
※口の中で食べ物を噛んで、唾液とまぜ、飲み込みやすい塊にすることを食塊にするといいます。
食事中にむせる
- 食物が喉に残っている
- 食事のペースが速い
- 一口量が多い
- 喉頭の動く距離が少ない
- 喉頭の動きが遅い
- 軟口蓋の動きが不十分(※)
- 食塊が鼻腔に逆流している
※軟口蓋とは…弁状の形の蓋のようなもので、口、咽頭と鼻、咽頭を遮断する役割があります。
食後にむせる
- 食塊が喉に残留している
- 胃食道逆流がある
- 食後すぐに横になっている
咳込む
咳込むのも嚥下障害によくある特徴的な症状です。
咳込むのは、むせた食べ物を外に出すための反射です。強く大きな咳ができれば、咽頭や気管内に入った異物(食物や水分)を排出することができますが、弱々しい咳の場合は誤嚥の危険性が高くなります。
※誤嚥とは食べ物が気管の方へ入ってしまうことを言います。
咳の力が弱いと、吐き出すことができないまま気管内に異物が入り込んでしまいます。
食べ物や飲み物が気管に入ってしまうと、一緒に入った細菌により、炎症を起こします。肺まで細菌が入り込んでしまうと肺炎を起こます。それを誤嚥性肺炎といいます。
痰の量が増える
痰の量が増えるのも嚥下障害によくある特徴的な症状です。
痰は呼吸器でつくられる粘液で、気道内に入った異物をからめ取って排出しています。通常、痰は咳で外に吐き出され、少量であれば無意識に飲み込んでいます。
痰が多量に出るときは、肺炎や気管支炎などの疾患を考えます。
高齢者は誤嚥をしていてもむせないことがあります。むせのない誤嚥の事を不顕性誤嚥といいます。
食事中や食後にゼロゼロしたり、声がかすれたり、痰がからんだ声になるというのは、嚥下障害の重要なサインなので、見逃さないよう注意が必要です。
まとめ
嚥下障害によくある特徴的な症状をまとめました。
むせる
理由:食べ物や水分が気管に入るから。それを気管から外に出そうとしてむせます。
咳込む
理由:むせて気管から外に出された食べ物や水分を、さらに体外に出すために咳込みます。
痰の量が増える
理由:痰の量が増えるのは異物が気道にあるためです。痰は気道に入った食べ物などをからめ取る役割をしています。
このような症状がたびたびある場合は、嚥下障害の可能性があります。また、高齢者ではすでに誤嚥性肺炎を起こしている可能性があるので、特に注意が必要です。
嚥下障害を起こしている原因にもよりますが、嚥下機能はリハビリで鍛えることが出来ます。症状を放置せずに専門家に相談して下さい。放置すると回復可能な時期を逃す危険性があります。
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