高齢者に多く発症する誤嚥性肺炎は、細菌が胃液や唾液とともに肺に流れ込んで起こる肺炎です。肺炎球菌で発症する肺炎とはちがって、日常生活の送り方しだいで予防できる病気です。
そこで、誤嚥性肺炎を防ぐための4つの基本となるポイントをまとめました。
誤嚥性肺炎を防ぐ4つのポイント
ポイント1:よく噛む
誤嚥性肺炎を防ぐためにはよく噛むことが大切です。
あわてて食べてむせてしまうこと、誰しもが経験あるかと思います。
それはよく噛まずに飲み込もうとしたため、飲み込む準備がまだできておらず、喉が受けつけずに異物を外に吐き出そうとしたためです。
食べ物をよく噛んで細かくし、唾液でなめらかにして喉の通りをよくすることで、スムーズに飲み込むことが出来ます。
よく噛むことで満腹感が得られ、食べすぎを防ぎ、消化を助けます。 さらに集中力を高める働きや認知症を予防する働きもあるといわれます。
ポイント2:丁寧な口腔ケア
誤嚥性肺炎を防ぐためには、丁寧に口腔ケアをすることが大切です。
ロの中は雑菌でいっぱいです。
口の中には雑菌が常に存在しており、それらは食物残渣(食べ物などのかす)などを栄養にして増殖します。その雑菌に含まれた病原菌は誤嚥性肺炎を起こす大きな原因です。
また、口の中の汚れは虫歯や歯周病の原因となり、噛むことや味覚に影響します。
それだけでなく、口の中の雑菌が血液によって心臓に運ばれ、感染性心内膜炎を引き起こすことも珍しくありません。心房内にできた細菌の塊が脳に飛んで脳梗塞になることもあります。
口腔ケアの効果がすごい
虫歯や歯周病を予防する
認知機能の低下を予防する
口臭を取り除き、不快感をなくす。(対人関係にも影響)
誤嚥性肺炎を予防する
全身的な感染症を予防する
気分を爽快にし、食欲を増進させる
口唇、舌、顎、咽頭(いんとう)の刺激やマッサージによって、摂食・嚥下訓練の一助となる
発音に関与する口唇、舌、軟口蓋のリハビリテーョンとなる
唾液の分泌を促進して自浄作用を促し、口腔の乾燥を防ぐ
味覚を保つ
敏感な口腔を刺激することで、全身の緊張をほぐすことができる
日常生活にメリハリをつけることができる
ポイント3:水分をよくとる
誤嚥性肺炎を防ぐには水分をしっかりと取ることが大切です。
運動のあとなどに、とっても喉が渇いて喉から音が出るぐらい水をがぶがぶと飲んでしまうことがありますよね。
これは身体が水分を求めていたからで、そのとき、口の中はカラカラに渇いていたはずです。
身体の中の水分が足りなくなり、その補給が十分でないと、脱水症状があらわれます。脱水は身体全体の機能を低下させます。そして、嚥下にとって、きわめて重大な問題を引き起こします。
ロや喉の働きが低下するとともに、十分な唾液の分泌ができず、誤嚥しやすくなります。
特に高齢者の場合は、自分でも気づかないうちに脱水状態になるのが特徴です。
脱水を見分ける方法として、分かりやすいのが、口の中の観察です。脱水状態の人は、舌にうるおいがなく、乾燥しています。
ポイント4:正しい呼吸をする(深呼吸・鼻呼吸)
誤嚥性肺炎を防ぐには、鼻呼吸を意識することが大切です。
呼吸は嚥下と密接に関係しています。
嚥下も呼吸も喉を通して行われます。呼吸機能がきちんと働いていないと正常な嚥下はできません。深呼吸をして、呼吸を整えてから心身をリラックスさせ、ゆっくり落ち着いて食事をしましょう。
日頃から「口を閉じて鼻で呼吸する」習慣をつけるようにしましょう。鼻で呼吸することは口腔内の乾燥を防ぐだけでなく、舌や咽頭の働きを強化してくれるので、誤嚥を防止するためにとても大切なことです。
まとめ
誤嚥性肺炎を防ぐための基本となる4つのポイントをまとめました。
- 食事は、正しい姿勢で、ゆっくり、よく噛んで、食べましょう。
- 食後はしっかりと口腔ケアをしましょう。
- こまめな水分補給で、脱水を予防しましょう。
- 日頃から正しい鼻呼吸を意識しましょう。
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